Part3 ランデブーのための軌道力学
ランデブーのために学んでおきたい、軌道力学の基本的な知識について説明します。
ここで書かれているのと同じ操作をする必要はありません。
一度だけざっくり読んでいただければ十分です。
軌道高度と周期
軌道を1周するのに必要な時間のことを、公転周期という。
周期は軌道の高度によって変化する。
円軌道の高度 | 周期(1周するのに必要な時間) |
300km | 5422秒(約90分) |
10000km | 20850秒(約6時間) |
Alt | 地表からの高度 |
T | 周期 |
つまり、高い軌道に移ると、1周するのに必要な時間が長くなる。
低い軌道であれば、1周するのに必要な時間は短くなる。
近地点と遠地点
宇宙船の軌道には、天体に一番近い点と遠い点がそれぞれ存在する。
これらをPeとApと呼ぶ。
Pe | 近点(地球なら近地点) |
Ap | 遠点(地球なら遠地点) |
PeA | Peの高度 |
ApA | Apの高度 |
PeT | Peまでの残り時間 |
ApT | Apまでの残り時間 |
PeとApの高度が近ければ近いほど、軌道は完全な円に近づく。
PeとApの高度が一致しないとき、軌道は楕円になる。
PeAが300km、ApAが800kmの楕円軌道を周回している宇宙船について考えてみよう。
この宇宙船を放置しておくと、Peでは高度300kmまで下降する。
逆にApでは高度800kmまで上昇する。
PeT・ApTは、Pe・Apまでの残り時間を表している。
これによって、Pe・Apからどれくらい離れているか確認できる。
高度を変える
宇宙船が加速・減速すると、軌道の高度と周期が変化する。
加速 | ProGradeでエンジン噴射 |
減速 | RetroGradeでエンジン噴射 |
PeA・ApAとTに注目する。
(近地点・遠地点高度と周期)
Peで減速すると、Apの高度が下がる。
Peの高度は変わらない。
軌道を1周するのに必要な時間は短くなる。
1枚目が減速前、2枚目が減速後
Peで加速すると、Apの高度が上がる。
Peの高度は変わらない。
軌道を1周するのに必要な時間は長くなる。
1枚目が加速前、2枚目が加速後
Apで加速・減速すると、Peの高度が変化する。
Apの高度は変わらない。
Pe・Apどちらの場合も、エンジンを噴射した位置から見て、ちょうど反対側の高度が変化する。
一方で、自分が今いる位置の高度はほとんど変わらない。
周期は、Pe・Apも同じように変化する。
加速すれば長くなり、減速すれば短くなる。
Peで減速 | Apの高度が下がる | 1周する時間が短くなる |
Peで加速 | Apの高度が上がる | 1周する時間が長くなる |
Apで減速 | Peの高度が下がる | 1周する時間が短くなる |
Apで加速 | Peの高度が上がる | 1周する時間が長くなる |
近地点・遠地点を作る
Ecc(軌道離心率)の小さいほぼ完全な円軌道で、加速・減速した場合について確認しておこう。
加速すると、現在地点のちょうど反対側にApができる。
減速すると、現在地点のちょうど反対側にPeができる。
○ | Ap | 遠地点 |
● | Pe | 近地点 |