TransX ISSから火星まで

TransXを使って、ISSから直接火星まで飛ぶ方法について解説します。

今回使用するシナリオは、ChecklistsフォルダのMission 2 - ISS to Mirです。

フライトプランの作成

地上から出発する場合と同じように、Stage 2のEject Planで火星までのフライトプランを作成する。

Stage 1View:Setupを開いて、Scale to ViewTargetに、Graph projectionPlanにする。

View:Escape Planを開いて、Pe DistanceFocus ApDと同じ値にする。

次に、Ej Orientationを操作して、Rel Inc(Relative Inclination=軌道傾斜角のずれ)をゼロに近づける。

Rel Incが小さくならない場合は下記を参照。
長楕円軌道を利用した軌道面変更

フライトプランの実行

ここまでの作業が終わったら、シナリオエディタを使ってEject dateの日時へと移動する。

ドッキングを解除したら、地上からの場合と同じようにマニューバを作成して、火星に向かう。

長楕円軌道を利用した軌道面変更

Eject dateの日時によっては、Rel Incが小さくならないことがあります。
このような状況で使えるテクニックについて紹介します。

交点(AN・DN)と近地点・遠地点(Pe・Ap)を一致させる

Ej Orientationを操作して、白い線と黄色い点線を重ねる。

白い線はAN・DNを結ぶ線であり、これとマニューバの開始地点を重ねることで、Pe・ApとAN・DNが重なることになる。

重要:Rel Incが小さくならず、また白い線と黄色い線が重ならないこともあります。
そういう場合は、Eject dateを新しく探しなおすか、(余裕があれば)エンジンを噴射してRel Incを小さくしてください。

楕円軌道に乗せる

シナリオエディタを使ってEject dateの3日前へと移動する。

Stage 1View: Manoeuvreにして、Prograde vel.を選択。
3000(3k)と入力する。

Man. dateを選択して、ふたつの黄色い点線を重ねる。

このとき、View: Escape Planで黄色と白の3つの線がすべて重なっていることを確認する。

このマニューバを実行すると、宇宙船は細長い楕円軌道に乗る。

軌道面を変更する

楕円軌道に乗ったら、Align MFDを開く。
ELSボタンをクリック。
TransXの機能(中級者向け)

TransXのView: Escape Planを見て、Incl.LANの数字をAlign MFDに入力する。

AN・DNのうち、遠地点に近く、Est thrust T(予測噴射時間)の数字が小さいほうで軌道修正する。
Align MFDを使って、RIncをゼロにする。

遷移軌道に移る

RIncをゼロにしたら、Align MFDを閉じて、TransXを開く。

Stage 2Escape Planをすべて消去(Reset)する。

Stage 1View: Manoeuvreを開く。
Man. datePe MJDの数字を同じにする。

Prograde vel.を選択。
Stage 2を見ながら、火星に到達する軌道にする。

マニューバを微調整して、火星に衝突するような軌道にする。

マニューバを作成したら、通常の手順で実行して火星に向かう。

解説

一般的には、地上からの打ち上げに比べて、軌道上から出発したほうが必要な燃料は少なくなります。

ただし、地上からの打ち上げであれば、打ち上げの時刻や方角によって、パーキング軌道の軌道面※を自由に選ぶことができます。
これに対して、既存の軌道から直接出発する場合、タイミングによっては軌道面が遷移軌道を大きく外れてしまうことがあります。

※軌道面=軌道傾斜角(Inc)と軌道昇交点(LAN)で定義される平面

いったん遠地点を高くすることによって、このような軌道面のずれを小さなDelta Vで修正することができます。
現実の宇宙開発では、高緯度地域から静止衛星を打ち上げるような場合に、似たようなテクニック※が用いられています。

※スーパーシンクロナス・トランスファ軌道