惑星間遷移軌道への打ち上げ
惑星間遷移軌道(ほかの惑星へと飛行するための軌道)への打ち上げについて解説します。
TransXのEscape Plan、IMFDのSurface
Launchに関係する内容です。
惑星間遷移軌道を作る
打ち上げ作業に取りかかる前に、惑星間遷移軌道を作成しておく。
地上にある打ち上げ地点は、地球の自転・公転によって、宇宙空間を移動している。
打ち上げ地点はこのように複雑な運動をしているので、いったんその存在を忘れて、地球を出発点として軌道を作成する。
地球と目的地の惑星の位置関係から、条件に合う遷移軌道を決定する。
地球周回軌道にいる宇宙船を、月へと飛行させる場合と同じように考える。
遷移軌道に接続する
円軌道のある一点で加速すると、円軌道→楕円軌道→放物線軌道→双曲線軌道へと変化する。
Orbiterでは、軌道上で実際にエンジンを噴射することで、軌道が変化する様子を確認できる。
下の図において、緑の円は地球上空を周回するパーキング軌道を表す。
パーキング軌道のある一点で加速すると、双曲線軌道(黄色い点線)へと変化する。
オレンジの直線が示す方向に加速すると、惑星間遷移軌道に乗ることができる。
双曲線軌道の片方の端は、オレンジの線と並行に伸びている。
このような双曲線軌道に乗ることができれば、そのまま遷移軌道に接続できる。
パーキング軌道を逆回りに周回する場合を考慮すると、反対側にもうひとつ双曲線軌道を作成できる。
また、この宇宙は3次元空間なので、オレンジの線を軸に双曲線軌道を回転させることができる。
惑星の横からでも、上・下からでも、同じ方向へと飛んでいくことができる。
このように軌道を回転させることで、無限にたくさんの双曲線軌道を考えることができる。
これが意味するのは、地球上のどの地点からの打ち上げであっても、遷移軌道に接続できる双曲線軌道が必ず2つ※存在するということ。
※パーキング軌道を逆回りに周回する場合を考える
TransXを使用する場合、Escape PlanのEj Orientation機能を使うことで、この軌道を目指して打ち上げることができる。
Ej Orientationを操作して、パーキング軌道が打ち上げ地点の上空に来るようにする。
自転速度の利用
真東に向けて打ち上げた場合、地球の自転による速度をそのまま利用できる。
また、同じ方向への打ち上げであっても、時刻によって軌道の傾きと向きが変化する。
これは地球が自転しており、またその自転軸が傾いているからである。
緑の点 | 打ち上げ地点 |
緑の円 | 真東に打ち上げた時の軌道 |
黒い直線 | 地球の自転軸 |
青い直線 | 双曲線軌道の軌道面と、真東に打ち上げた時の軌道面の交線 |
灰色の円 | 打ち上げ地点の緯線 |
これを応用して、真東に打ち上げたときの軌道が、双曲線軌道の1つと重なるタイミングを待って打ち上げると、燃料を節約することができる。
惑星間ミッションでは、このようにして打ち上げ時刻を決定する。